【SS】赤雲、ようやく攻らしくなる【R指定】 R18 09/03/02


魔女姉妹の妹ミシアと雲姉妹の姉赤雲が寝床として使っているアルティミシア城のある一角。
一応の契りを交わした仲であるミシアが眠るベッドの下で、冷たい床に敷かれた御座にマントでぐるぐる巻きになった赤雲が、何やら据わった目をしながら横たわって天井を睨んでいた。

「いかん。眠れん」

体に巻かれたマントがまるでミノ虫のお宿のようだが、そのマントの内側で赤雲の手は頻りに自らの股ぐらを気にして蠢く。

「こんな時に。発情期とは」

溜め息まじりに呟かれた赤雲の言葉。
じんわり熱い自らの股ぐらに、もう何千何万と経験した発情期の訪れを確認する。まぁ万年発情期の赤雲にしてみれば、何らいつもと変わらないじゃないかと言ってやりたくもなるのだが。
自分からたぎらせる欲求と自分の意に反して沸き上がる欲求とではまるで感じ方が違うようで、赤雲はモソモソとマントを体から剥がしミシアがすやすやと寝息を立てるベッドへとソロリソロリと近付いた。

「…魔女ー」
「………」
「おぉーい。魔女ー」
「………」
「水ぎゅ…」
「誰が水牛ですか」

ギラッ!!と見開かれた目にギョッとした赤雲が、それはそれは面白いくらいに飛び上がってゴロゴロと床を転がり離れていく。
そんな赤雲をムクリと起き上がったミシアが冷めた眼差しで見つめると、しばしの沈黙ののち何もなかったかのようにそのままパタリと倒れてしまった。

「………ね、寝惚けていたのか…奴は?」

未だにバクバクとうるさい心臓にやっぱりもういい加減年だろうかと思いながら、再びソロリソロリとミシアの方へ歩み寄りその顔を覗き込む。

やはりそそられる。

寝ていても吊り上がった眉と目尻。それとは反対に可愛く繰り返される小さな寝息。そして先程から赤雲の鼻先をしきりに擽る甘い香り。

「………。」

ギッ…。

静かにベッドに膝を乗せ、ミシアを起こさないようにゆっくりとその体に跨がる。
相変わらず無駄に開いた胸元に視線が行き、余計に赤雲の息は上がった。

「魔女」
「………」
「おい魔女、起きろ」
「………ん」

身動ぐミシアが数回目を擦って自分の上の赤雲を認識すると、まだ少し寝惚けた顔で「朝ですか?」何て聞いてくる。

「まだ夜中だ」
「なら起こさないで下さい…まだ眠いです」

いつものミシアからは恐らく滅多に聞けないであろう駄々っ子のような台詞。
再びコロンと寝返りを打って眠りに落ちようとするミシアの頬をプニプニとつつき、くすぐったそうに眉を寄せるミシアを見て赤雲はうなじに噛み付いた。

「痛い」
「わしの歯はまだまだ頑丈だからな」
「もう…ふざけてないで貴女も寝たらどうですか…。私は眠いんです…寝かせて下さい」
「わしとて夜は眠りたいが、今日はそうもいかんのだ」
「何ですか?また床で腰でも冷やしたんですか?」
「年寄り扱いするな。そうではない。発情期がきた」
「発情期?はっ。貴女の場合毎日でしょう?」
「いつものアレは言わば“夫婦間のコミュニケーション”だ。今回のは生理的現象故にわしも困っておる」
「………私にどうしろと?」
「鎮めてくれ」
「………。」

まさに単刀直入なお願いにすっかり目が冴えたミシアは、自分の上に跨がる赤雲を見上げながら一つ深い溜め息をつく。

「駄目か」
「今日に限ってやけに下手に出ますね」
「いかんか」
「………調子が狂います」
「お前でもそんな事があるのか」
「私を何だと思っているのですか。………はぁ。わかりました。お相手して差し上げますから、少し降りてくれませんか。重いです」
「そうか」

いつもと違って妙に聞き分けのいい赤雲に調子を狂わされながら、ミシアは目の前で正座する赤雲に思わず吹き出して肩を揺らした。

「何ですか改まって」
「いや、お前が嫌々でも了承してくれたのは珍しいからな。いつもはわしが勝手に襲って勝手に食らっていた」
「まぁ、確かにそうですが…一応共に生活しているわけですから、たまには力を貸して差し上げないと後でうるさいでしょう?」

何やら下手な言い訳にも聞こえたが、赤雲は大人しく「そうか」と頷いてただただ待機している。

「雲…やはりその、やけに大人しくするのは気持ちが悪いのでやめてもらえませんか?」
「気持ち悪いとは失礼な。仕方あるまい。わしとていつもの調子が出んのだ」
「………発情期になると貴女は聞き分けが良くなるんですか?なら毎日でも発情期になって下さればいいのに」
「ほざけ。こんな腰の低い亭主に成り下がるのは発情期だけで十分だ。そんなにいつものわしが嫌か?ん?」
「別に嫌だとは言っていません。貴女はどんな貴女であれ貴女に変わりはありませんから。今の貴女は好き、でもいつもの貴女は嫌い。そんな悪女みたいな事は言いませんよ」
「ほう。そこまでわしに惚れているか」
「惚れているのは貴女でしょう?」

意地の悪い笑みを浮かべて正座する赤雲の足にそっと手を置くと、わざと顔を近付けて挑発的な目線を送り赤雲を煽った。

「大人しい発情期ですこと」
「スロースターターなだけだ」

そう言って赤雲はゆっくりとミシアの体を抱き込んでコロリとベッドに横たえる。
いつになく丁寧な事の運びにミシアも少しくすぐったさを覚え、間近にある赤雲の顔を見上げてはすぐ顔を逸らした。

「魔女」
「何ですか」
「服は、着たままがいいか?」
「………」
「それとも、脱がして欲しいか?」
「………好きにしてください」

いつも乱暴にむしり取られる衣類の処理を、改めて問われると何だか無性に恥ずかしい。これはある意味羞恥プレイか何かなのかと思いながらも、ゆっくり優しく脱がされていく感触に少しだけ酔いに似た感覚を覚える。

「どうした魔女。随分大人しいな」
「……貴女こそ、随分丁寧に脱がすのですね」
「いつも乱暴に脱がしてハイ終わり、だったからな。少しはムードを大事にしてみたが、お気に召したか?」
「………………割と」

素直に頷いたミシアに赤雲は口元を緩めてチュッと軽く口元に吸い付いた。
いつもはした事のないキス。いつもはされた事のないキス。そんなキスにお互い静かな昂りが体の奥底でたぎりはじめる。

「ん、っ…雲…」
「何だ」
「………これ」

普段はミシアから与える事のないEXコア。
今日は珍しくミシアの方からおずおずと差し出して、チラリと赤雲を見やりながら仄かに赤くなる。

「もうそんなに我慢出来ないか?」
「………聞かないで下さい」
「そうか。なら聞かん」

小さく笑ってEXコアを受け取ると、赤雲は早速EXモードに突入して肌の色を緑色に変えた。

「魔女」
「……今度は何ですか」
「爪を立てたら、スマン」

毎回毎回胎内に捩じ込まれる度にミシアではなく赤雲が爪を立ててくる。そのせいでミシアの体にはその度その度痛々しい爪痕がクッキリと刻まれていた。
それを予め謝ってきたようで、赤雲はミシアの肩を軽くベッドに押し付けながらまだ慣らしていないミシアの秘所へと己の欲望の象徴をグッと押し付ける。

「慣らしていないが、大丈夫か?」
「いつも慣らさないくせに何ですか今更」
「はっ。そうだったな」
「雲」
「ん、何だ?」
「肩ではなく、手、握って下さい」
「………」

ジッと見上げてくるミシアに、赤雲はしばし沈黙して目をパチクリとしばだたせた。
あのミシアが自分から“手を握って欲しい”と言ってくるとは。赤雲は沸き上がる愛しさに任せてギュッと両手を握ってやると、ゆっくりと自身をミシアへと埋め込んでいく。

「っ、…は…」
「んっ…魔女…、痛いか?」
「…、大丈…夫っ…」

赤みの増したミシアの頬に無理がないのを確認し、赤雲は一つ頷いて更に奥へと自身を進めて熱い吐息を吐き出した。

「ァッ、…っ雲…」
「っ、案ずるな…、いきなり動いたりはせん…ッ…」
「違っ…、もっと…ッ動いて…下さ、いっ」
「…っ!!」
「私は…っ、大丈夫ですからっ…今大変なのは、ッ…貴女でしょ、う?」
「…魔女、…」
「貴女に遠慮は…っ、似合いません…」

重なった手をミシアに握り返され、赤雲は少し戸惑った顔をしながらもソロリと腰を動かしてみる。

「あっ、…!!」
「…ぅ、っ」

痛みから上がる声ではなく、艶を含んだ甘い声。ミシアが上げたその声に赤雲は一気に理性が吹き飛んで、発情期のせいでたぎりにたぎった欲望のままに激しく腰を打ち付けた。

「あぁっ、アッ…!!雲っ、…雲…っ!!」
「ぅ、くっ…!!…魔女、っ…!!」

真っ白い喉を見せながら何度も何度も反り返るミシアを下に組み敷きながら、赤雲はポタポタと汗を滴らせつつも激しい揺すりを止めようとしない。
ミシアの中でギュウギュウと締め付けられる自らの分身でさえ、もっともっとと言うようにミシアの胎内を頻りに突いては硬くなる。

「ふ…ァッ、…!!…っ雲…、もっと…もっと突いてっ…」
「っ、魔女…、もっとか?もっと、…欲しいかっ、…?」
「もっと、…っ…もっとたくさん、ッ…たくさん突き上げて下さい…っ…」

真っ赤になったミシアがこちらを見ながら求めてくる。赤雲にはそれだけで十分過ぎる煽りだった。

「魔女っ…!!魔女、…っ!!」
「アッ、ぁあ…っ!!雲、っ…もうっ、私…っ…!!」

人ならざる者に相応しく、赤雲は凄まじい勢いでミシアの胎内を突き上げる。さすがのミシアも息が上がり、赤雲の手を必死に握り締めながら苦しそうに限界を訴えた。

「っ、は…ッぁ…!!…ッ、いいぞっ…、無への道をっ…、見せてやる…ッ…!!」
「ひ、…アッ、ぁあっ…雲、っ…雲っっ…!!」
「うッ…、くッ…っ…、ミシア…っ!!」
「っ———————!!!!!」

真っ白になる頭の中で、ミシアは確かに赤雲の声を聞いた。

初めて“ミシア”と名前で呼んだ赤雲の声を。

 

 

 

 

 

 

 

「………寒っ!!!!」

ガバッと起き上がった赤雲がキョロキョロと辺りを見回すと、いつもより高い視界にしばし思考が停止する。

「…あぁ、わしは魔女と…」

ミシアと交わった昨夜の光景を思い出して僅かに口元が緩む。すると隣で自分と同じく裸のミシアが、布団を全部持っていきながらすやすやと寝息を立てて小さく寝返りを打った。

「………おい魔女。寒い。わしにも布団」
「………」
「魔女。布団。半分寄越せ」
「………」
「魔じ…」

三度目の呼び掛けを行おうとした赤雲の腕に、再び寝返りを打ったミシアがスルリと腕を絡めてくる。しかし当の本人はやはり眠っているらしく、スースーと可愛らしい寝息が赤雲の耳にくすぐったいくらいに入ってきた。

「………仕方あるまい。このままもう少し眠るとするか」
「………雲」
「あん?何だ魔女。起きたか?」
「………」
「寝言か、紛らわしい」

そう呟いて再びゴロンとベッドに横たわった赤雲だが、久しく感じていなかったフカフカのこのベッドの感触よりも隣で眠るミシアの肌の感触の方がずっとずっと心地よく感じたようで。
起こさないようにソッとミシアの体を抱え込み、満足そうな顔で再び眠りにつくのでありました。

 

 

完。